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StarDust

むかしあるところにそれは美しい女の子がいました。

けれど女の子はまだ子どもでした。

あるときお母さんが言いました。

「おまえは今日からこの赤い洋服を着て、この赤いリボンをして、この赤いバラを持っていなければならないよ」

それからというものその女の子はいつも赤い洋服を着、赤いリボンをして、赤いバラを手に持っていました。

真っ赤な女の子はそれはそれは美しく、村の男性たちはせめて彼女の代わりにと、彼女が身につけていたものを欲しがりました。

けれど女の子はお母さんにこうも言われていました。

「その洋服とリボンとバラは誰にも渡してはならないよ」

女の子はその村の誰にも、洋服とリボンとバラを渡すことはありませんでした。

またあるとき女の子はひとりの男性とすれ違いました。

その人は隣の村の住人でした。

彼は女の子を見ると、その美しさにすぐさま目を奪われました。

そしてせめてその美しさを忘れることがないようにと、彼女が持つバラを欲しがりました。

女の子は言いました。

「お母さんが渡してはいけないと言ったから、このバラは渡せないの」

男性は少し考えてから、

「では僕が持っている、この白いユリと交換しましょう」

それは彼女が今までに見た中で一番美しい花でした。彼女はユリを見たことがなかったのです。

女の子はすぐさまその花が欲しくなりました。

「いいわ。そんなに美しいお花と交換なら」

女の子は男性から純白のユリを受け取り、赤いバラを失いました。

女の子が家へ帰ってそのことをお母さんに報告すると、お母さんはひどく悲しみました。

「ああ、あれほどバラを渡してはいけないと言ったのに」

ほどなくして、女の子はまたひとりの男性に会いました。

彼は隣の隣の村から来た旅人でした。

彼は女の子を見ると、その美しさにすぐさま目を奪われました。

そしてせめてその美しさを忘れることがないようにと、彼女がしているリボンを欲しがりました。

「お母さんが渡してはいけないと言ったから、このリボンは渡せないの」

男性は少し考えてから、

「では僕が持っている、この白いカチューシャと交換しましょう」

それは彼女が今までに見た中で一番美しい髪飾りでした。彼女はカチューシャを見たことがなかったのです。

彼女はすぐさまカチューシャが欲しくなりました。

「いいわ。そんなに美しい髪飾りと交換なら」

女の子は男性から純白のカチューシャを受け取り、代わりに赤いリボンを失いました。

お母さんはひどく嘆きました。

「ああ、あれほどリボンを渡してはいけないと言ったのに」

しばらくして、女の子はひとりの男性と出会いました。

彼は隣の隣のそのまた隣の村から来た商人でした。

彼は女の子を見ると、その美しさにすぐさま目を奪われました。

そしてせめてその美しさを忘れることがないようにと、彼女が着ている洋服を欲しがりました。

「お母さんが渡してはいけないと言ったから、この洋服は渡せないの」

男性は少し考えてから、

「では僕が持っている、この白いドレスと交換しましょう」

それは彼女が今までに見た中で一番美しい洋服でした。彼女はドレスを見たことがなかったのです。

彼女はすぐさまドレスが欲しくなりました。

「いいわ。そんなに美しいお洋服と交換なら」

女の子は男性から純白のドレスを受け取り、代わりに赤い洋服を失いました。

こうして女の子は白いドレスに身を包み、白いカチューシャをして、白いユリを持つようになりました。

そこへ偶然、散歩をしていた王子様が通りかかりました。

彼は女の子を見ると、その美しさにすぐさま目を奪われました。

「ああ、なんて美しいお姫様だろう。どうか僕と結婚してください」

こうして女の子は王子様と結婚し、楽しく暮らしました。

けれど女の子が王子様の子どもを身籠ることは、ついにありませんでした。


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グリム童話風にしてみました。

赤い色は……?

白い色は……?

                                                    伸縮自在

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芝居

僕の中の悪魔が叫ぶ。

「奪え! 己の欲するまま、劣情のままにな!」

僕の中の天使が呟く。

「壊しなさい。他人のために、自己のために、自己の欲望を壊しなさい」

両者は互いに譲ることなく、その戦いは果てなく続くように思われた。

当然のことながら、決定権は僕にある。

僕は考える。

………

……



あるとき僕はひらめいた。

それはまるで僕の頭上に稲妻が降ってきたかのようなインパクトだった。

瞬間、僕の中の天使と悪魔は消え去り、代わりに仮面が残された。

僕は屈むとそれを手に取り、顔に被せた。

するとどうだろう。今まで見てきた世界のすべてが変化してしまった。

けれどそれは、僕の望んだ変化だ。僕の望んだ世界だ。

そうして僕は、歩き出した。

………

……



人間は壊さずにはいられない。その触れるものすべてを。

人間は奪わずにはいられない。その写したものすべてを。

自己の欲望は自己によって打ち砕かれ、自己の欲望はそれによって解決される。

だから奪え、自己を壊すために。

だから壊せ、他者を奪うために。

なにかを奪うにはなにかを壊さなければならない。

なにかを壊すにはなにかを奪わなければならない。

人間は得ることはしない。奪い、壊すだけだ。

そうして成り立っている僕たちだ。

………

……



悪魔と天使は「僕」になった。

そうしてできた『僕』という総体を統括するのは、果たして僕なのか、「僕」なのか、《僕》なのか。

あるいは【僕】かもしれないし、またあるいは{僕}なのかもしれない。

この世界の主人公は僕ではない。

なぜなら僕は総体としての構築物でしかなく、絶対の一個人ではないからだ。

僕にはもはや僕を抑える力はない。

僕が僕でなくなる日は遠くないだろう。

まっさらな僕は僕の奥深くで眠っていて、誰かの到来を待つこともない。

今のところあの白雪姫をように助かる日を待ち望むことはない。

まっさらな僕にとっての母親は、社会なのだから。

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テーマは「人格」と「人間関係」です。
少しグリム童話についての知識を入れてみました。

では、今日はこの辺で。

                                                    伸縮自在
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木陰日和

Author:木陰日和
同人サークル「木陰日和」です。
いろいろやってみています。是非見ていってください♪

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